アップルが10月13日に発表した「Apple HomeView」は、Apple初の本格的なスマートディスプレイで、7インチの画面とスピーカーを一体化し、音楽再生、FaceTime通話、家族間のインターコム、スマートホーム機器の操作、そして新しい音声アシスタント「Siri AI」までを1台にまとめたもの。
価格は299ドル。
米国、英国、カナダ、オーストラリア、インド、ニュージーランド、南アフリカで11月13日に発売され、シンガポールも含めた8カ国が初回対象となるようで、残念ながら日本での発売は未定。
カテゴリーとしては、AmazonのEcho ShowやGoogleのスマートディスプレイと競合する製品となり、これまでも、HomePod(画面なしスピーカー)やApple TVで家庭内に入り込んできたのですが、ついに「画面付きの据え置き端末」を自社ブランドで出してきました。
顔を認識して、1台を家族で使い分ける
HomeViewの最大の特徴は「共有される1台でありながら、各人にはパーソナルに感じられる」という設計思想であり、内蔵の12メガピクセルのセンターステージカメラが最大6人の顔を見分け、認識した相手に合わせてホーム画面を切り替えるのだとか。
アプリやウィジェットの並びは一人ひとりが自分用にカスタマイズすることができるようで、メッセージやカレンダー、リマインダー、「探す」といった個人情報は、本人が認識されたときだけ画面に出てくるのだそうで、これ、ちょっと気になりますね。
リビングのカウンターに置けば家族共通のダッシュボードになり、自分が近づけば自分の予定やメッセージが表示されるという使い分けが、ロック解除やアカウント切り替えの操作なしに成立するようで、写真を映す「Photos」フェイスは共有アルバムを選べば離れた家族も中身を増やせるデジタルフォトフレームになり、「Flow」フェイスは人の動きに反応する動くアートになるようですね。
スヌーピーが時刻や天気、季節に合わせて動くフェイスも用意されるのだそうで、面白さが詰まっていて、日本での発売が待ち遠しくなりますね。
画面は、1,088×1,088ドットのLiquid Retinaで、明るさは最大500ニットから最小0.3ニットまで自動調整され、日差しの入る昼のキッチンでも見やすく、寝室のナイトスタンドでは眩しくならないという幅の広さになっています。
見る人との距離に応じて表示する情報量も変わるのだそうで、遠くからはシンプルに、近づくと詳細を出すなど、ちょっと賢そう。
アルミ製の本体はステンレスのヒンジで角度を調整でき、カラーはシルバー、スターライト、ローズピンク、スペースグレイの4色で登場。付属ケーブルも本体と同色になっているのだそうで、この辺が憎たらしいですね。
スマートホームの「操作盤」としての役割
HomeViewのもう一つの役割が、家の中の機器をまとめて操作するというもので、画面タッチでもSiri AIの音声でも、カメラ映像の確認、サーモスタットや照明の調整、ドアの施錠、ブラインドの開閉ができるようで、「Home Camera」フェイスでは最大9つのカメラ映像を同時にライブ表示でき、玄関先の荷物や庭のペットを一画面で見渡せるのだとか。
対応カメラとiCloud+を組み合わせると、人・顔見知り・ペット・荷物・車を区別して通知する機能が使え、アップルによれば、HomeKitセキュアビデオの映像には内容を文章で説明する機能があり、動画を再生しなくても「何が起きたか」を把握できるようですよ。
煙や一酸化炭素の警報音を検知してiPhoneなどに知らせる機能も備えているのだそうで、もはやホームセキュリティのレベルにまで達する勢い。
発表と同時に、LG ElectronicsおよびSchneider Electricと組んだスマートホーム機器の新ライン「Apple Home Collection」(カメラ、サーモスタット、ロックなど)や、第4世代Apple TV 4K、HomePod mini 2も登場し、HomeViewはこれらや、Matter対応・Works with Apple Home対応のアクセサリーと連携する前提で設計されているみたい。
壁掛けモデルも用意され、取り付けにはSchneider Homeの専用マウント3種が使え、USB-C接続のPower Mountが59.95ドルから、AC配線式が79.95ドルから、PoE配線式は2027年初頭に129.95ドルで提供されます。
EUが外れた理由。Siri AIが使える国でしか売らない
今回の発表でもっとも性格を表しているのが、EU(欧州連合)で販売しないという決定で、理由は明快、HomeViewの操作の中核であるSiri AIが、EU版のiOSでは現在使えないから。
Siri AIは、2026年6月に発表されたApple Intelligenceベースの新しいSiriなのですが、アップルはEUのiOS 27・iPadOS 27への提供を延期しており、その理由というのがEUのデジタル市場法(DMA)が求める「相互運用性」で、アップルは、第三者のアシスタントに自社AIと同等のアクセスを開放すると、ユーザーの個人データやセキュリティを従来の水準で守れなくなるとし、一方の欧州委員会は、DMAはSiri AIや新製品の投入を禁じておらず、法令に適合させる責任はアップル側にあるという立場で、両者の主張はいまだ噛み合っていない状況。
つまり「EUがHomeViewを禁止した」わけではなくて、販売しないと決めているのはアップル自身であり、その判断の上流には、Siri AIとDMAをめぐる対立があります。
アップルは「今後の道筋を見出すべくEUと建設的に協議を進める」としているのですが、EU向けの発売時期は未だ未定、無理して海外版を個人輸入したとしても、連携するiPhone・iPad側のSiri AI制限まで解消されるわけではないので、EU圏で本来の体験をそのまま得られるという保証はありません。
Siri AIが対応するのは当初、英語のみとなっており、米国、オーストラリア、カナダ、インド、ニュージーランド、シンガポール、南アフリカ、英国で利用することができ、カナダのフランス語は後日の無料アップデートで追加される予定。
つまりHomeViewは「Siri AIが提供できる国から順に出す」製品であり、どの国で買えるかはそのまま、アップルがAIをどこまで展開していくのかにかかっています。。
日本のユーザーが今わかること
現在のところ、日本での発売は未定で、現時点で価格も時期も発表されていません。
同時に出たApple TV 4K(49,800円)やHomePod mini 2(24,800円)は、11月13日に日本でも発売されるため、スマートホーム製品群の中でHomeViewだけが保留になっている形。
HomeViewはApple Intelligence対応のiPhone・iPadと組み合わせたときに、アプリをまたいだ操作や個人コンテキストを活かした応答といった本領を発揮し、日本語のSiri AIがどのタイミングで、どの機能まで揃うかが、そのまま日本発売の見通しに直結してきそうで、今後は発売日の噂を追うより、Siri AIの日本語対応に関するアップルの公式発表を確認するほうが発売されるかどうかを確認できそう。
本体にはA18チップと、カメラやマイクのデータをシステムから分離して処理する「Secure Exclaves」を搭載し、この領域で処理されるデータにはHomeViewのソフトウェアもアプリもユーザー自身も、そしてアップルもアクセスできないのだとか。
これは家族で1台を共有しても個人のコンテンツが守られるという設計を支える仕組みで、299ドルという価格は、Echo Showなど競合の上位モデルと重なる水準で、アップルが「画面付きの家庭内ハブ」という新しいカテゴリーにどう食い込むかは、まず英語圏での立ち上がりに表れてきそう。
でも、この話を聞くだけでも爆発的に売れるような気もしますけどね・・・。
